復元てこ交差表(CROSS TABLE

復原力交叉曲線(Cross Curves of Stability)
復原力曲線(GZ曲線)は、ある一定の排水量における傾斜角と復原てこ(GZ)の関係を示したものである。しかし、船が傾斜すると水線面の位置・形状が変化するため、排水量を固定してGZ曲線を求める作業は手間が大きい。さらに、実船では燃料・バラスト・積荷の状況により排水量が変化するため、排水量ごとに同様の計算を繰り返す必要がある。
この問題を簡便化するために利用されるのが 復原力交叉曲線(Cross Curves of Stability) である。
復原力交叉曲線の作成と利用
複数の排水量について、特定の傾斜角(例:15°、30°、45°、60°、75°、90°)における復原てこ GZ を求める。
こうして得られた値を、横軸に排水量 W、縦軸に GZ としてプロットすると、各傾斜角に対して1本ずつの曲線群が得られる。
これらの曲線群を 復原力交叉曲線 と呼ぶ。
任意の排水量での復原力曲線が必要な場合は、その排水量に対応する縦線を引き、傾斜角ごとの GZ を読み取れば、その排水量での GZ 曲線を再構成することができる
復原力曲線との関係(3軸空間での理解)
復原てこ GZ は 排水量 W傾斜角 α の関数であり、GZ-W-α の三次元空間で表すことができる。
W を一定にして α に対して表したもの → 復原力曲線
α を一定にして W に対して表したもの → 復原力交叉曲線
したがって、両者は同じ立体曲面を異なる方向から眺めた
ものと理解できる。


重心位置の補正
交叉曲線を作成する際には、船が大角度(例:90°)まで傾いた場合でも復原てこが正となるよう、実際より低い重心位置 G? を仮定して GZ を計算することが多い。
もし実際の重心位置が G であるとすると、仮想重心 G? から実重心 G への修正により、復原てこ GZ は次式で与えられる:
GZ=G1Z1-GG1sinα

ここで、
記号     意味
G1Z1      仮想重心 G1 に基づいて得られた復原てこ
GG1       実重心 G と仮想重心 G1 との差(垂直距離)
α       傾斜角

重心が高くなるるほど復原力はさくなることが明示される

 参考に復元てこ表の一部を添付: